- 毒親育ちで、なんだか生きづらいと感じている人
- 毒親育ちで、人間関係がうまくいかなかったり、心を病んでしまいやすい人
- 毒親育ちがどうして生きづらいか知りたい人
- 毒親育ちをパートナーに持ち、相手の生きづらさについて知りたい人
愛着スタイルとは何か?
発達心理学の専門用語で、イギリスの有名な児童精神医学者ジョン・ボウルビー(John Bowlby)が、1960年代に提唱したもの。親と子の間に形成される愛情。
人格形成において、幼少期にいかに良い愛着(アタッチメント)を築くかということが大切だと言われています。
子どもは乳幼児期に養育者(主には母親)から無条件に受け入れられ、愛されるという経験を通して、養育者との愛着を形成していきます。
(ここでは養育者=親 として記載していきます)
この愛着が子どもの人格形成の基盤となります。
恋人や友人など、周囲の人たちとどんなつながり方を求め、どんな状態が快適だと感じるか左右する傾向のこと。
安定型の愛着スタイル(非毒親)
安定型は別名「自律型」とも呼ばれ、その名のとおり、精神的に自律し安定しています。
親が愛情を適切に提供するため、親とのつながりが心の支え、「安全基地」となって、まだ知らない世界を少しずつ冒険しながら、見守られながら、安心して育ちます。
このような育ち方をすると、自分が信頼している人が自分を信じることができ、受け止めてくれることをいう希望を持つことができます。
何か大きな失敗をしたら嫌われるかも、愛情を失ってしまうかも、と思い悩むことが少なく、人間関係において余計なストレスを抱えることが少ないです。
また、自分のこともまわりの人のことも肯定的に捉えることができるため、健全な人間関係も築くことができます。
まわりに困った人がいるときは人を助けることができ、また自分も困ったときは誰かが助けてくれると信じて行動することができます。
不安定型(不安型)の愛着スタイル(愛着障害)
一方で毒親に育てられた場合です。不安定型は、「不安型」「回避型」「不安型と回避型のハイブリッド」の3つにわけられるため、前者2つについてご紹介します。
不安定型の1つ、不安型は別名「とらわれ型」とも呼ばれ、人間関係において相手の反応にとらわれすぎる傾向をもちます。
親が愛情を適切に提供しません。親にやたらと目をかけてもらうときもあれば、冷たく突き放されるときもあるといったような、不安定な環境で育ちます。
このような環境では、親の顔色をうかがって育ちます。
こんな環境で育つと、大人になって大切な恋人、友人ができた場合にも、「自分はいつか見捨てられるのではないだろうか」という不安に苛まれ、不適切な言動や行動をしてしまいがちです。
他人への不信感を抱えることで、建設的な人間関係を築きにくくし、他人を信じることが怖くなってしまいます。
信頼できる人を求めているのに、相手に過剰な期待をしてしまったり、関係維持に不安を抱えてしまいます。
不安定型(回避型)愛着スタイル
不安定型のもう1つ、回避型は別名「愛情軽視型」とも呼ばれ、その名のとおり、愛情を軽視してしまう傾向にあります。
親が愛情を適切に提供しません。母親的な役割の人がいなかった、親が育児放棄していた等、親とほとんど情緒的な関係をもたずに育ちます。
このような環境で育つと、人と人とのコミュニケーションによって得られるものを知らないまま育つことになり、人に助けを求めるという発想が産まれれにくくなります。
すると、距離をおいた対人関係を好むようになり、自分を守るために、裏切られるのを避けるために、情緒的な強い感情を抑えるのが得意になってしまいます。
自分を大切にすることを身に着けられていないことが多いため、自分にも相手にも無気力、無関心になってしまいがちです。
愛着スタイルごとの人間関係の築き方とは?
安定型の人間関係
上記のとおり、安定型の愛着スタイルを持つ人は、健全な人間関係を教えられて育ちます。
例えば、誰かと相談したり、意見が違ったりときも、自分の考えを相手に話す方が、お互いを深く理解し合えると考えることができるため、相手に対して誠実な態度をとることができます。
仮にそこで意見が食い違っても、「あなたはそう思うんだね」と客観的に判断することができ、また、相手の主張によって自分の意見や立場が脅かされたと判断しません。
例えば、相手が不機嫌な時も、「自分がなにか機嫌を損ねるようなことをしてしまったのでは」と考えることもなく、不用意に人の機嫌をとることもしません。
「外で何か嫌なことでもあったのかな」、と「相手の側に問題が発生している」と考えることができます。
不安型の人間関係
一歩で不安型の人は、安定型の人と異なり、自分に自信が持てず、相手に嫌われることを強く恐れてしまいます。
相手の行動を「自分のせい」ととらえてしまいがちで、大切な人に「いらない」と言われることを恐れ、以下のような生きづらさを抱えることが多いです。
- 友人が怒っていると「自分のせいで怒らせたかも」も思ってしまう
- 相手がどう思っているのかを考えすぎて、自分の本心を抑えてしまう
- 恋人と関係が深まると、その関係が壊れてしまうことを執拗に恐れてしまい、壊れてしまう前に自分から去ってしまうため、関係が続きにくい
- 恋人と関係が深まると、その関係が壊れてしまうことを執拗に恐れてしまい、過度に束縛したり嫉妬してしまうなど、相手が逃げるような行動をとってしまう
- 恋人と関係が深まると、その関係が壊れてしまうことを執拗に恐れるあまり、相手のモラハラにも耐えてしまう(DV被害にあいやすい)
回避型の人間関係
回避型の人は、不安型の人とまた異なり、人との付き合いに距離を置くことを好みます。
一見そんなに問題がないように聞こえますが、回避型の人が周囲と距離を置く付き合いをする理由は、そもそも人が自分を助けてくれるとは思っていないため、人のことも助けない傾向が強いです。
助けるという思考自体はある場合もありますが、「どうせ自分ができることはない」と諦めてしまいがちです。
- 友人が困っていても、気持ちに寄り添うことや共感することができない
- 友人のグループで何か問題が起こった場合、面倒ごとを避けるために気配を消してしまう、1人になりたがる
- 自分が困っていてもまわりに相談することがないので、その淡白さに恋人が戸惑ってしまう(恋人はなんとか振り向いてもらおう、気持ちを知ろうと空回りする)
- 周囲からは感情表現が乏しいと捉えられがち(自分のテリトリーを侵された場合は激しく反発することもある)
不安定型愛着スタイルの弊害とは?
大きなストレスを負ってしまった場合、心理的な恐怖を体験した場合、その体験を乗り越えるためには、家族、親類、友人、恋人、会社の同僚や社会の制度など、周囲の誰かからの助けが必ず必要です。
しかし、その助けを求められないために、こころの病気を発症してしまうレベルに達してしまうのです。
例えば、ブラック企業で毎日長時間労働でボロボロになって働いたり、上司からモラハラを受けたり、大きなストレスでつぶれそうなとき、
友人に話しを聞いてもらう(=友人に助けてもらう)、親戚に対処法を相談する(=親戚に助けてもらう)、別の会社に逃げる(=失業手当に助けてもらう、新しい会社に助けてもらう)、さらに上の管理職に相談する(=管理職に助けてもらう)
といった何かしらのサポートを求めれば、病に倒れることはないかもしれません。
しかし、「上司が叱咤するのは自分の出来が悪いからではないだろうか」、「もっと愛想よくすれば嫌われないのではないだろうか」、「管理職が自分を助けてくれるわけがない」、「声をあげたってどうせどうにもならない」
不安定な愛着スタイルを持つ人は、こうやってサポートを求める手が伸ばしにくく、取り返しのつかない段階まで進んでしまうのです。
さいごに
ここまで、毒親育ちの私たちが持ってしまいがちな「不安型愛着スタイル」「回避型愛着スタイル」について説明してきましたが、愛着スタイルは環境や人間関係によって変化していくとも考えられています。
今現在、不安定な愛着スタイルを持っていると認識できてさえいれば、これからの人間関係において少しずつ修正していくことができ、安定型へと近づいていくことができます。
この記事は以上です。お読みいただきありがとうございました!