- 毒親の介護なんてしたくないけど、面倒みなきゃいけないの?
- 子供にも親の扶養義務があるって聞いたけど、本当?
- 毒兄弟が貧乏なんだけど、扶養しろって言われたら?
- 親が生活保護申請して、自分に扶養照会が来た。
子供から親への扶養義務とは?
民法では、2種類の扶養義務が定められています。
- 生活保持義務(強い義務)
- 生活扶助義務(弱い義務) 対象はこっち
- 対象者:親から子供(未成年)・夫婦間
- どんな義務?:扶養義務者と同程度の生活を保障する義務
(条文:752条・760条・820条)
- 対象者:親から子供(成年)・直系血族※・兄弟姉妹など
- どんな義務?:扶養義務者に余裕があれば援助する義務
※直系血族:父・母・祖父母・子・孫・ひ孫
(条文:877条1項)
私たちから毒親、私たちから毒兄弟の場合、この②「生活扶助義務」が当てはまります。
この義務では、「扶養義務者が社会的地位にふさわしい生活が成り立つ」ように扶養するとあるのに加え、「余裕がある範囲で援助する義務がある」としています。
もし収入を渡すように要求されたり、仕送りしろと言われたり、扶養に入れるよう強要されても、断固拒否してください。
「扶養義務」について法律事務所がわかりやすく解説している記事がありますので、より詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
親や兄弟から援助してほしいと言われたら?
なので、基本はこの流れになります。
- まずは当事者間で協議することが基本。
- こじれて話がまとまらないときは、家庭裁判所が収入や生活水準や事情を考慮して定める。
親や兄弟が家庭裁判所に訴えて、初めて検討台に上がります。
弁護士さんの書いた「毒親でも扶養する義務は放棄できない」という記事も参考になりますので、こちらも合わせてどうぞ。
親が生活保護申請して、扶養義務案内(扶養照会)がきたら?
親や兄弟が生活保護を申請すると、だれか扶養義務のある人が扶養してくれないかどうかを探すため、福祉事務所から義務者に扶養照会を行います。
つまり、「援助できませんか?」「あなたには扶養義務があるんですよ?」と書類で聞いてきます。
あなたの家族構成、収入、資産状況、支援の可否を記入する紙が送られてきます。
無視しても問題はありませんが、ほっとくのも気持ち悪いので、「支援の可否」の「不可」に して提出すればオッケーです。
もし扶養照会に返送しないと、福祉事務所から金融機関や官公署に資産調査がされることもあります(生活保護法第29条)。
でも、その調査結果により扶養しなければならなくなることはないので、そう心配することもありません。
毒親の介護は放棄できるか?
親の介護の義務は、上の扶養と同様で、自分と配偶者・子どもの生活に余裕がある場合に発生するので、余裕がなければ介護の義務は発生しません。
義務が求める範囲は「金銭面」のみ
つまり、あなたが毒親を風呂にいれてあげたり、食事の世話をしてあげたりする義務は全くありません。
お金を支援してヘルパーさんにぶん投げ、でも義務は果たしていることになります。
ただし、やりたくもないのにこちらから積極的に支援する必要は全くありません。
親や兄弟が「子供には介護する義務がある!!」と家庭裁判所に訴えて、初めて問題になることです。
その時に勝てるか負けるかは、裁判所が事情の考慮などをどう判断するかでわかりませんが、そうなってから対応したらよいことです。
要介護状態を認知していると、罪になることもある
一緒に住んでいたり、連絡を取っていたりして、あきらかにほっとくと死ぬと知っていた場合に放置していると、もちろん罪になります。
- 「保護責任者遺棄致死罪」
面倒や保護する義務があるのに、何もしなかったため、対象者が死亡した場合にかけられる罪。 - 「保護責任者遺棄致傷罪」
面倒や保護する義務があるのに、何もしなかったため、対象者が傷害を負わせた場合にかけられる罪。
こちらの介護事業を運営されている会社の書いた「親の介護義務を少しでも軽くするためには」の記事もわかりやすいので、合わせてどうぞ。
そもそも、子供は親の介護要員ではありません。親の老後問題は、親が自分でなんとかするものです。
毒家族の死にどう関わるかについても記事を書きましたので、毒親の葬式に関わりたくないな…参列しないと駄目なのかな…と思っている方はぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
「今まで親にはたくさん愛情をもらって、お世話になったから、恩返ししたい」…と考えられる人は、扶養したり、愛情をもって介護すればいいと思います。
そう思える関係性って素敵ですよね。
でも、私は返す恩もないので、もちろん介護も扶養もしません。返したい恨みはたくさんありますけどね。
介護・扶養の問題から逃げる一番の近道は、やはり親との別居、一人暮らしだと思います。結婚で家を出るのもアリです。
一人暮らしに迷っていたら、こちらも読んでみてくださいね!
以上、お読みいただきありがとうございました!