どんな親であれ、親と絶縁する、完全に関わらないようにする、親を捨てるということは、世間的にも精神的にも物理的にも、簡単なことではありません。
親という最も近しい存在と縁を切ることには、メリットもありますが、デメリットも存在します。
近いうちに絶縁を考えている方、今はまだ無理だけど将来的に縁を切る方向で生きていきたい方にとって、メリットとデメリットを把握しておくことは非常に重要です。
毒親と絶縁後に失ったもの(デメリット)
デメリット1:故郷がなくなる
当たり前ですが、帰る家はなくなります。
一度絶縁したら、毒家には寄り付かないことをこのブログではおススメしています。
思い出の場所とか、懐かしい故郷とか、そういったものがなくなることはデメリットです。
また、初対面にありがちな「実家はどこですか?」の質問に、少し胸が痛い思いをすることになります。
私は毒家の場所を言ったり、義実家の場所を言ったりしますが、風向きが悪いので話題をとにかく変えようとします。
さらに、ほかの人と実家や故郷の話題になった時も、少しめんどうな思いをすると思います。
「あまり帰っていません」とごまかしても、「親も心配してるよ、帰ってあげなよ」と言われますし。毒親育ちにそんな親いないよ。
デメリット2:困ったときに頼れる親がいない
絶縁したら経済面で困っても頼ることはできなくなります。
もし十分に経済的に余裕があれば問題なくなりますが、貯金や収入が少ないと、不安になる点ではあると思います。
絶縁において、自分に何かがあったときに、ある程度の期間は自分を養える貯金があることはとても大事です。
絶縁前からある程度貯めておくと、この心配は少し解消されるかもしれません。
それでも何かあった時に…と心配がなくなることはありませんが、お金の心配と精神的な負担を比較して、考えてみてください。
デメリット3:保証人になってくれる人がいない
マンション等を借りる時など、連帯保証人になってくれる人がいなくなります。
連帯保証人がいなくても保証会社を設定できるところもありますので、借りる時は不動屋さんに相談してみてください。
保証会社には審査もありますが、身の丈(収入)にあった家賃の場所に住むと、通りやすいようです。
この問題は、結婚すると解決しますので、結婚時に絶縁するというのも1つの手かと思います。
デメリット4:冠婚葬祭で困る・体裁が悪い
わざわざ絶縁したと他人に言う必要もないのですが、「親は大切にすべきだ」論を持っている人に対しては、信頼感を下げてしまうかもしれません。
また、結婚時には困ることになる場合もあり、結婚相手が理解してくれても、結婚相手の両親が、ご両親に会わせろと言ってくることもあります。
「モンスターのような親も存在する」ということが理解でき、絶縁したあなたの考えを尊重してくれる人と付き合っていくことがベストなのですが、そういう人ばかりでもないですからね。
また、都心ではそうでもなくても、田舎では家族のつながりが重要視されがちです。
結婚に限らず、何かの集まりの場所に親がいないと、「なんでご両親はいないの…?」とザワつかれることもあると思います。
絶縁するときは、田舎より都会に住んだ方が絶対に生きやすいです。
結婚関連でパートナーともめた話を書きましたので、合わせてどうぞ!↓
デメリット5:遺産が減る
相続には「遺留分」をもらえる権利というものがあり、どのような遺言があっても、相続人には法律上保障された、一定の割合の財産を相続する権利があります。
なので、毒親が「お前にはやらん」と遺言を書いたとしても、私たちは一定額をもらうことはできます。
また、こちらから遺産を放棄することもできますので、遺産ですらも毒親と関わりたくない、と思った場合には拒否できます。
親の遺産にも死にも関わりたくないなぁ…って人はこちらの記事も合わせてどうぞ↓
デメリット6:子供にとっての祖父母が片方なくなる
これは子供をもつ方に対するデメリットです。
子供にとってのおばあちゃん、おじいちゃんが、片方なくなります。
ある程度成長すると、みんなは両親の実家がそれぞれあるみたいなのに、「うちは1つだけ、なんでだろう?」と思うことでしょう。
両方の実家がおかしくて、両方絶縁していたら、実家がそもそもないパターンもありそうです。
しかし、よく考えてみてください。子供は本当に、祖父母がいないことに対して深く悲しむでしょうか。
「祖父母がいないこと」に対する罪悪感を持っているのは、大人の方ではないでしょうか。
子供が疑問に思っていたら、親の選択を誠実に答えてあげればいいのだと思います。
毒親と絶縁後に得たもの(メリット)
メリット1:自分の人生が自分のものになる
- 自分で今日なにをするかを選べる自由
- やりたいことをやることができる自由
- やらなくてもいいことをやらなくていい自由
- 毒親の意見に左右されず自分の予定を組める自由
- 物や服や家具を好きに買える自由
- 一緒にいたい人といくらでもいられる自由
本来は当たり前にあるべき、でも毒親育ちには存在しなかった、普通の自由を手にいれられることができます。
自分の人生は自分のものという実感が得られます。
メリット2:精神的に楽になる
今まで自分の頭のなかを支配し苦しめてきた「毒親」という存在が排除されたことで、生活面の自由だけでなく、精神的にも解放されます。
家で何をしていても、しなくても、どんなことを言っても、何を食べても、毒親に何か言われるんじゃないか、何かされるんじゃないかという恐怖が一切ないのです。
怒鳴り声も聞こえないし、侮蔑の視線も飛んできません。
毒親の暴言や暴力が当たり前になっていた人、毒親の影響で体や心の病気になっていた人も、症状は確実に軽快します。
絶縁してもしばらくはトラウマが残ってしまい、思い出して苦しい日々が続くこともありますが、距離さえとって関わらなければ、絶対に少しずつ良くなっていきますので、どうか希望をもってください。
メリット3:精神的・経済的に自立できる
毒親の支配されて生活していると、経済的に不安だったり、一人ではやっていけないのではと刷り込まれている人も多くいると思います。
しかし、絶縁することで、足をひっぱる毒親という存在が消え、自分1人でやっていく意欲がもてるようになり、不思議と勝手に自立できるようになります。
自分は毒親から逃げ出せたんだという自信、これから1人で頑張っていこうという意欲、自分の人生を自分でコントロールできるという誇りが、自己決定力をアップさせ、精神的にも経済的にも自立する力が身に付きます。
メリット4:実家に帰らなくていい・接触しなくていい
年末年始やお盆に帰るのが憂鬱な人、多いんじゃないかなぁと思います。
親戚の誰かが亡くなったとか、誰が結婚するとか、そういう針の筵になるようなイベントを全部スキップできます。
そもそも、絶縁後はイベントであっても親と接触するのはおすすめできません。
毒家というのは磁場が強いというか、一度戻るとまた引き戻される吸引力がものすごく、少し接触した途端またコンタクトをとってこようとしたり、せっかく距離をとってもすぐにまた汚染されてしまいます。
絶縁しても、毒親にとっては「少し子供がすねているだけ」くらいにしか思っていない場合も結構あります。こちらの覚悟は伝わっていないと思っていてほぼ間違いありません。
電話口で声を聞くだけでも精神的ストレスが半端ないのに、いくら絶縁しても、葬式くらいは顔を合わせないとだめだと、なぜか思っていました。
しかし、毒家の親戚が亡くなった時、帰らないという選択をしました。
その時は思い悩みましたが、葬式なんて出なくても結局全く問題なかったので、みなさんも帰らなくて大丈夫ですよ。
メリット5:介護しなくてよい
これは親が年を取ったときに大きなメリットになります。
毒をまき散らす親の介護をするなんて、もう地獄でしかないと思いませんか?
介護施設に入れればいいやと思っても、介護施設は結構お金がかかります。
介護度が低いと、地域によっては順番待ちでなかなか入れてもらなかったりもします。
逆に、まわりの人との間で介護の話が出たときに、話題に入れなくて困ることはあるかもしれませんね(笑)
親の介護って拒否できるの?という疑問について調べた記事も、合わせてどうぞ!↓
メリット6:毒親から自分の子供を守ることができる
これは子供をお持ちの方のメリットになります。
毒親と関わっていると、餌食となるのは自分だけでなく、子供(毒親にとっては孫)もその対象となります。
直接孫をいじめることはなかったとしても、毒おばあちゃん、毒おじいちゃんが自分の親をいじめている姿を見て、子供はどう思うでしょうか。
また、毒親の影響を受けて精神的ダメージを負っている親は、ストレスが溜まりイライラしたり鬱々としてしまい、健全な子育てが難しくなってしまいます。
毒親と関わらないことで、大きなストレスから子供を守ることができます。
まとめ
今回は、親と絶縁するメリットとデメリットをご紹介しました。
確かに失うものもありますが、これからの自由な人生と比較して、どう感じたでしょうか。
親と離れたら天涯孤独だ、と思っていても、私たちはまた新しい関係をつなぐことができます。
人と良い関係性を結んでいくためには、切らなければならない縁もあります。それが、私たちの場合は親だっただけなのです。
親の庇護がないと自分はだめだと思っていても、自分で決断したことは自信になり、1人で立つ決意をすると、だんだんと自活できるようになります。
すべての毒親育ちに絶縁をすすめているわけではなく、それぞれ適切な距離感があると思います。
ただ、毒親育ちが自分を取り戻すには、絶縁が最短距離となることもあります。
以上、お読みいただきありがとうございました!