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【ネタバレあり】毒親育ちにおすすめコミック①「虐待父がようやく死んだ」感想

なや
なや
こんにちは、毒親育ちのなやです!
くろ
くろ
毒親育ちにお勧めの、毒親体験記コミックを紹介するよ!
みけ
みけ
今回ご紹介するコミックはこちらです!


  • タイトル:『虐待父がようやく死んだ
  • 著者:あらいぴろよ
  • 発行日:2019年8月
みけ
みけ
主に毒父からDVを受けて育った作者の、コミックエッセイだよ。
くろ
くろ
作者は素人ではなく漫画家さんなので、エッセイといっても漫画として完成度が高く、絵も可愛くて読みやすい!ぐいぐい引き込まれていくよ。
みけ
みけ
ただし、相当ハードな内容なので、メンタルがやられている時に読むのはおすすめしないよ。

この本の毒親傾向

くろ
くろ
この書籍の登場人物はこんな感じだよ。
  • 作者(あらいぴろよさん)
  • 毒父:暴力・アルコール依存症DV。外面は良い。
  • 毒母:夫のDV被害者。一見子供たちを大切に思っているが、離婚はしない。
  • お兄さん2人:作者と同様毒親の恐怖にさらされる。
みけ
みけ
「ジャイアンタイプ」の毒父」んだね。
くろ
くろ
そうそう。主にはこの毒父のDVが問題なんだけど、実は母親も「悲劇のヒロインタイプ」の毒母なんだ。この2つの毒はとても相性がいいんだよ。
みけ
みけ
やな相性だね…

毒母・毒父のタイプ(特徴)についてはこちらで紹介しています↓

【毒親5種類・父親編】あなたの毒父はどのタイプ?【特徴を知ろう】毒父の特徴・種類を5パターンにわけて紹介しています。自分の父親は毒親なのではないか?と疑っている方はぜひご覧ください。この記事を読むと、毒父がどの傾向にあるか、育てられた子供にどのような後遺症が現れるかがわかります。...
【毒親6種類・母親編】あなたの毒母はどのタイプ?【特徴を知ろう】毒母の特徴・種類を6パターンにわけて紹介しています。自分の母親は毒親なのではないか?と疑っている方はぜひご覧ください。この記事を読むと、毒母がどの傾向にあるか、育てられた子供にどのような後遺症が現れるかがわかります。...
くろ
くろ
また、毒母は「白雪姫の母タイプ」の毒母でもあるんだ。毒父が娘の体を狙っていた事実を知りながら、ずっと嫉妬していたんだよ。
みけ
みけ
ひえっ…こわいよぉ。

簡単なあらすじ

くろ
くろ
この体験談の主な毒は父親だよ。

外面がよく評判のいい父親、しかし家のなかでは酒乱で妻や子供に暴力をふるうDV親です。

物語の中盤までは、この毒父の暴虐(暴力・性的虐待・面前DV・人格否定)について描かれています。

くろ
くろ
一方の母親は、最初は子供思いの優しい母親として描かれているよ。

夫のDVに耐え、ぼろぼろになっても、身を挺して子供たちを守る。

主人公は、「みんなのために頑張ってるのに!」と包丁を振り回し怒り狂う母を見て、(お母さんは被害者、悪いのは全部父親)と思うようになります。

みけ
みけ
そして、お兄さんが二人いるんだよね!
くろ
くろ
そうそう。幼少期は兄弟も同じようにDVを受けていたけど、大人になってからはお互いに協力し、親のことをともに乗り越えていく素晴らしい関係性だよ。

 

物語の後半は、DV父が死に、影に隠れていた母親の毒が露呈していきます。

ずっとお母さんは被害者だと思ってきたけど、実は母親もおかしいのでは…?DV夫婦の共依存なのでは…?という展開に変わっていきます。

みけ
みけ
実は母親は、父親が娘を性的対象としてみていたことに気づいており、嫉妬していた、って展開はつらかったよ。

親と離れてからも、主人公は人間関係でつまずき、男女関係でも歪んでしまい、フラッシュバックに苛まれます。

くろ
くろ
そして、気持ちの安定している良きパートナーと出会い、子供が生まれるんだ。

ところが、結婚、出産してめでたしめでたし、とはいきません。

出産後も、子供との関わりを通して、多くのフラッシュバックを経験しながら、自分の生き方を見つめ直していきます。

この本の感想・レビュー

くろ
くろ
この本の共感ポイントは5つあるよ!

①毒親の配偶者もまた、毒親だということ

みけ
みけ
メインの毒親は父親だけど、実は母親も相当ヤバかった、っていう展開がすごい。

最初は「被害者」としてけなげに子供たちを守る母親として描かれており、子供たちも(お母さんを守らなきゃ)と思っています。

メインの毒親に隠れて、その配偶者の毒に気づかないことは非常によくあることで、その気づきの過程がとてもリアルです。

主人公は大人になり、父親が病気になると、ようやく母親のおかしさのおかしさに気づくようになります。

お母さんは子供のせいで逃げられなかったんじゃなくて、ただ私たち子供より父親を愛していたから、あんなひどい環境で私たちを育てたんだ。

私が父親から性的な目で見られていたことに、お母さんは気づいていた。気づいてなお、娘に嫉妬していた。

と気づいてしまう部分は本当に生々しかったです。

②「親を殺したい」と思ってしまう子供の心

みけ
みけ
父親の暴力シーン、母親のヒステリーシーンの表情、うちの親もこんな顔してた…親を憎く思うシーンの主人公の呪うような表情も、ぼくこんな顔してたよ。
くろ
くろ
子供にこんな顔させる親って、本当に人じゃないよ。

後半で父親が死ぬ展開になりますが、

もっとホッとすると思ったのに。」

「火葬の点火スイッチを押したい。本当は私が殺したかったのに。」

という感情、よくぞ描いてくれたな、と思いました。

毒親育ちの後遺症は、単に距離をとったり、絶縁したり、結婚したとしても、そう簡単には消えません。

また、親が死んだところで、「色々あったけど産んでくれてありがとう…」となるはずもなくいっそ殺したかったと思う気持ちはとても真に迫っていました。

③親と離れても、周囲との違いに苦しみ、人間関係をこじらせてしまうところ

みけ
みけ
人の愚痴を聞いても「私の方が辛い」と心の中でマウントしたり、異性に依存しすぎたり、相手を試すようなことをしたり…何回も「わかる!」と思ったよ。

主人公は、毒親のことをわかってくれる友人にも出会えますが、初めて受け入れてもらえた喜びから、何カ月も自分の受けた悲劇を語ってしまい、「お前の精神状態はおかしい」と言われてしまいます。

ただ、トラブル続きの人間関係のなかで、主人公は、自分の考え方に原因があることに気づきます。

毒親の影響を受けている時は、自分は完全に悪くなかった。だから、どんな時も「私は悪くない」と自分を慰めてしまう癖がついてしまった。

くろ
くろ
こんな風に自己分析できる主人公(作者さん)は本当にすごい。

④子供への虐待の連鎖は断ち切れるというところ

みけ
みけ
「自分も虐待していしまうかも」という毒親育ちの子育ての不安って、本当に大きいよね。
くろ
くろ
好きな人と結婚しました、子供もできました、よかったね!で終わらないのが、現実だよね。

主人公はやがて子供を産み、男の子を育てていくのですが、子育てにおいて虐待のフラッシュバックが起こり、毒の連鎖から脱しようとする描写が凄まじく、心に迫るものがあります。

毒父が死んでもなおフラッシュバックに苦しむ主人公が、育児疲れで余裕がなくなり、息子(幼児)に対して

「私は絶対に虐待なんかしない、良い親にならなきゃ

「こんなに愛してやってるのに泣きやがって、何が不満なんだ

という葛藤、過去のフラッシュバック、私も同じように経験があります。

「私もこんな風に親に愛されてみたかったのに」という叫びは、心にぐさっと刺さるものがありました。

それでも、

暴力をふるったり性的対象として見たりしない、子供として見てくれる親は、私にはいなかった。

そんな風に、最終的に親の呪縛から脱出し、ケリをつけることができます。

みけ
みけ
毒父からも毒母からも、過去は過去として自分を解放し、自分は絶対に毒を連鎖させない!って誓いをもって終わっているのが、とても良かったよ。

⑤唯一の救い:分かり合える兄弟関係

みけ
みけ
兄弟2人の存在が唯一の救いだよ。うらやましいなぁって思っちゃった。

兄弟とともに、虐待の後遺症(記憶障害やPTSD)に悩まされながらも、老いた毒父と毒母の対応をともに考え、ともに乗り越えていく姿は、読んでいて素直にうらやましいなと思いました。

私の兄弟は毒親に迎合するタイプで、最終的に暴力をふるうようになってしまったので、私は親との絶縁ついでに兄弟からも逃げてしまいました。

でも、もしかしたらこんな未来もあったのかもな…と少し思ってしまいました。

まとめ

くろ
くろ
このコミックの一番素晴らしいなと思うところは、毒親から逃げるだけでなく、毒親の精神的な支配から逃れようともがき、解毒までを描いているところだよ!

きっと、こんなにもデリケートな心のうちをさらけ出すのに勇気も必要だったでしょうし、描く過程で辛くなかったわけがないと思うんですよね。

この本は、読んだ毒親育ちのみなさんが、毒親に抱いた感情は間違ってなかったんだと、 いつか幸せな家庭を築くことが出来るんだ、と思うことができる作品だと思います。

くろ
くろ
毒親に苦しんでる人だけでなく、毒親や虐待とは無縁だった人、大切な人が毒親に育てられたという人にも、おすすめだよ!

世の中にはこんな日常が実際に存在ということを、その傷を深く負ったまま今も苦しんでる人がいることをぜひ知ってほしいです。

アマゾンの高評価も頷ける作品です!

 

ちなみに、夫にもこの本を読んでもらい、タイプは違うけれどうちの毒親もこれくらい酷かったよと伝えると、私から言葉で聞くよりもかなりリアルに感じ取れたようで、「大変だったね・・・(超神妙)」と理解してくれました(笑)

この記事を読んで少しでも気になったのなら、ぜひ読んでみてください!

毒親育ちエッセイは最近色々と出ていますが、私はこれが一番、毒親育ちにとって助けになる一冊だと思います。

以上、お読みいただきありがとうございました!