- 教育虐待について知りたい人
- 自分も教育虐待されたのではと思っている人
- 教育虐待されたパートナーをもつ人
- 子供に教育虐待してしまわないか不安な人
2021年3月、医学部を9年浪人させられ、過干渉な母親の元で生活していた子供が母親を殺すというニュースが話題になりました。
この事件は2018年のもので、2021年1月に懲役10年の判決が下されました。
この記事を読んで、私はとても他人事とは思えませんでした。
あまりにもこの親を殺した女性と境遇が似ていて、一歩踏み違えたら、私はこの人だったかもしれないと思いました。
この記事では、教育虐待とはなにか、教育熱心とは何が違うのか、教育虐待してしまう毒親とはどういう特徴があるのか、考えていきたいと思います。
教育虐待とは?
- 「あなたのため」という大義名分のもとに行われる、親本位の不適切なしつけ、教育のことで、立派な「人格侵害」
- 親がただ一生懸命に子供の教育について考えることを「教育熱心」というのに対して、ここに「子供が耐えられない状態」が加わると、「教育虐待」となる。
子供が医者になりたい!と思っており、親も子供の夢をサポートしたいと思い、親子二人三脚で勉強を頑張っていくのであれば、それは健全な「教育熱心」です。
もし途中で、やっぱり医者じゃなくて○○を目指したい、となったとしても、子供の人権を認め、子供の気持ちを第一に、じゃあ今後どうするか話し合えるのが、健全な親子関係です。
もしこれが、子供の意思に関係なく、親が「子供を医者にしたいから」過度な教育を課すとき。
そしてそれに子供が耐えられないとしたら、それは教育虐待です。
私も親に医学部を志望されていました。私はこれっぽっちも医者になりたくありませんでした。
(医者になりたくない人間が、人の命を診る医者になるって、悲惨ですよね。)
小学生のころから、一日何時間も机に座らされ、ほぼ毎日塾に行かされ、夜9時に帰宅する日々。土日も毎週模試。子供らしく遊んでる時間なんてありません。
全教科A判定でなければ、何時間も罵倒、人格否定。少しでもさぼった様子が親の目に映ると、暴力。
「あなたのために毎月○万円も投資しているのに!」
「○○中学に入って、医者にならないなら、出ていけ!」
短大卒が学歴コンプレックスだった母親からの、教育虐待以外の何物でもありませんでした。
冒頭のニュースの女性も、母親の学歴コンプから、永遠に親の敷いたレールを歩むことを強制され、期待から外れると罵倒され、管理され、それはもう過酷な毎日だったのだと心が痛みます。
また、教育と聞くと、中学受験や高校受験など勉学を想像しますが、習い事の過度な強制もこれに当たります。
教育虐待する毒親の特徴4つ
教育虐待する毒親には、次のような特徴があります。
特徴①:口癖は「あなたのため」本音は「自分のため」
ただの教育熱心な親と、教育虐待傾向にある親の決定的な違いはここです。
口癖で「あなたのため」を持ち出すとしたら、かなり要注意です。
教育虐待系毒毒親が子供に教育を課す理由は、「親自身が子供を自分の思い通りにしたいから」、つまり「親のため」です。
そして、基本的に「他者からの評価や世間の基準がこうだから」で判断します。
「子供がどう感じ、何を求めているか」は、二の次、三の次…もしかしたら存在しない可能性もあります。
親自身が自分の欲望で子供をコントロールしていることに気づかず、本気で「これは子供のためだ…!」と思い込んでいる場合も多く、始末に負えません。
特徴②:子供の人生は親が選択するものと思っている
教育虐待する親は、「子供の人生は子供のもの」とは考えていません。
私が産んだ、俺が育てた、お金を出しているんだから、思い通りに動け、と思っています。
そして、「思い通り」になるように、子供が望むか望まないかに関わらず、教育を過度に与え続けます。
「これは子供のためになっているか」「これは強制になってはいないか、子供はどう感じているか」
そんな視点を持てないのが、教育虐待をしてしまう毒親です。
特徴③:子供の人生と親の人生を重ねている
教育虐待する親は、自分の人生でなし得なかったことを、子供で叶えようとします。
上記にも書きましたが、学歴コンプレックスのある親が、子供に高学歴、医者や弁護士などのハイキャリアを求めることも同じです。
この手の毒親は、少し成績が上がった、前のテストより良かった、という子供自身の相対的な評価では絶対に子供を褒めません。
親が目指す目標、ゴールに達しないと、親にとっては意味がないからです。
私は「医者になれ」という親の夢には答えませんでしたが、理系の大学には受かりました。
そこそこ名のある大学だったので、さすがに親も喜んでくれると思いました。
合格を親に知らせた時の第一声は、今でも忘れられません。
「でも、医学部じゃないんでしょう」
特徴④:親自身の人生が充実したものではない
教育虐待する親は、親自身の人生が充実していません。
子供のこと=自分のこと、になってしまい、自分の人生を持っていません。
親自身に友達や親しい人、相談できる人がいない、もしくは極端に少ないというのもよく聞く話です。
趣味と言えるもの、打ち込めるもの、私の毒母ももれなくありませんでした。
何が好きなのか聞いてみても、「お前のせいでそんな時間はない!」と叫んでいました。
もちろん親から、何が好きなのか、興味あるのかを聞かれることは、一度もありませんでした。
教育虐待する親の行動例7つ
教育虐待をしている親の行動は、このような傾向がみられます。
すべてではなくても、いくつか当てはまればそれは教育虐待の可能性があります。
行動①:子供のスケジュールを完全に管理している
幼い子供であれば、親が子供の時間割を管理することは当たり前です。
しかし、これはそういう意味でなく、子供のスケジュールを親の都合でがんじがらめにするという意味です。
例えば、平日は学校から帰ってきたら、夕飯まで2時間ピアノを弾くこと、夕飯を食べたらまた1時間ピアノを弾き、それから2時間勉強をし、寝ること。
これは私の小学生時代の例ですが、これ、余裕しろが全くありませんよね。
子供の意思はもちろん含まれませんし、常に緊張状態でした。
この精神の極限状態を回避するために、少しでも漫画を読んだりするものなら、平手が飛んできました。
行動②:子供の将来を勝手に決める
これもあるあるです。
教育虐待親は、子供を絶対に偏差値の高い大学に入れる!医者にする!弁護士にする!となぜか熱く思っています。
医者にも弁護士にも色んな種類、勤務先があり、働きかた次第で収入も激務具合も違うということを、もちろん彼らは知りません。
自分が望む何かにする、と本気で思っています。
学歴コンプのある親だけでなく、受験の成功体験のある親や医者の親、教師の親などにもこの傾向はよく見られます。
行動③:夜遅くまで何時間も勉強させる
これもよく聞く話です。
まだ小学生(中学受験)でも良く聞きますし、そういう塾の制度が実態として存在します。
学校が終わると塾に直行、授業が終わると塾で弁当を食べ、21時まで自習。
特に中学受験は、子供の意思なく過度な教育が進んでいってしまう危険性をはらんでいます。
子供の意思でなく親の意思で長時間勉強をさせていると、子供自身がなんのために勉強しているかわからなくなり、高校や大学に入ってから無気力になり引きこもりになるといったケースも珍しくありません、
行動④:暴力で従わせる・物をたたいて威嚇する
名古屋で2016年8月に起きた、当時12歳の男児を父親が包丁で刺し殺す事件もまだ記憶に新しいと思います。
教育虐待をしていた父親は、息子の太ももを包丁で刺しながら、「刺すって言ったはず!」「俺が書けって言えば、死ぬほど書け。覚えろって言ったことはぜんぶ覚えろ!」と怒鳴りつけていたそうです。
身体的暴力だけでなく、壁を殴る、机を叩く、刃物を突き付けるなどの脅しも含めて、明らかな虐待です。
行動⑤:友達と遊ぶことを極端に制限する
勉強する時間、習い事をする時間が減るからですね。
親にスケジュールをコントロールされているので、「友達と遊ぶ約束をする」なんて普通のことができません。
私は、家に友達が遊びに誘いに来てくれた時、毒母に「まだ今日のノルマが終わっていないだろう!」と友達の前で泣きながらピアノを弾かされたトラウマがあります。
行動⑥:人格否定で思考をコントロールする
「お前は人の何倍もやらないと、まともになれない人間だ」などと人格否定を繰り返し行うことで、子供の意思をそぎ、親の言う通りにしないと自分はダメな人間だ、という意識を植え付けます。
自尊心を低くすることで、親の言うことを聞かせやすくするためです。
そのまま反抗期を失ってしまうこともあります。
これは後々になっても非常に根深い問題で、毒親に繰り返し否定されることで、「自分なんて」と自己肯定感が低いまま大人になってしまいます。
あからさまな人格否定をしないような場合でも、次の⑦の傾向がみられることがあります。
行動⑦:正論で子供の逃げ道をなくす
⑥のように、「とにかく俺の言う通りに勉強しろ!」とか、「あなたはほんとうに駄目な人間ね」と罵倒する親もいる一方で、正論を叩きつけてくるタイプも存在します。
子どもを叱るのに十分な理由を用意してから、正論を振りかざし、子供の逃げ道をふさぎます。
この手の親は、「子供を思い通りにコントロールしたい」という欲望を隠し、自分の意見を正当化しています。
「あなたが約束を破ったから叱っているんだ」
「過去にあなたが頑張ると言ったから、私はこんなに学費を出してあげているんだ」
大人の正論を押し付けられると、大人よりも語彙力のない子供は、反論したり、自分の意見を言える場がなくなってしまいます。
反抗する機会すら与えられず、適切な反抗期を迎えられずそのまま大人になり、社会に出てから精神を壊してしまうこともあります。
まとめ
毒親が教育虐待をしてしまうのは、つまるところ親が、「自分が自分の人生に納得していないから」です。
毒親とは自分の心の問題を、子供を巻き込んで解消しようとする人にほかなりません。
教育虐待は、親自身の教育の問題(コンプレックス)を、子供で解消しようとするから、生まれる問題
冒頭でご紹介した女性が、刑期を終えて、今度こそ自分の人生を歩めることを願っています。
もし、自分も親を・・・と思ってしまう方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。
また、うちは過干渉かも…という悩みのある方、教育虐待とはどういうものなのか深く学びたい方には、下記の書籍もおすすめです。
「過干渉」をやめたら子どもは伸びる
尾木ママなどの教育最前線の3人が、意外と気づきにくい「子どもが生まれ持つ本来の特性」を解きながら、子供の才能を伸ばしていく方法を明らかにしていく本です。
私たちの人生は私たちのものであり、親のものではありません。
毒親から、自分の人生を切り離し、自分の人生の舵を自分で切りましょう。
以上、お読みいただきありがとうございました!