今回は、毒親と絶縁したら、ほんとうに毒親から自由になれるのか?という疑問についてお伝えしていきます。
結論から先に言うと、絶縁して音信不通にしたところで、親の呪縛された心は、すぐには解放されません。
私自身も、絶縁して数年経った今、怒鳴り声のない平和な毎日を暮らしていますが、すぐに心の平穏を手に入れられたわけではありません。
今回は、毒親と絶縁すると、私たちの身に何が起こるのかについて、実体験をもとに段階的に説明していきます。
フェーズ1:心の休まりを実感する
1人暮らしをしたり、電話を着信拒否したりして絶縁し、一切連絡しない、顔も見えない、声も聞こえない、そんな状態を手にいれたとします。
すると、今までに経験したことのない安心感を抱くと思います。
- 親から罵詈雑言が飛んでこない安心感。
- 親からいつも見られているような、聞かれているような、監視されているような精神的支配がない安心感。
- 何をしても親から文句や嫌味を言われない安心感。
- 親の言うことを聞かないといけないという恐怖のない安心感。
フェーズ2:罪悪感・親の接触恐怖を感じる
絶縁して安堵し、生活していると、だんだんを絶縁したことへの罪悪感を感じます。
私は親に対して罪悪感を抱くことはありませんでしたが、周囲の「親を大切にしろ」的風潮には、本当に縁を切ってよかったんだろうか…という罪悪感を抱くことはありました。
「親を大切にしないなんて」「親を見捨てるなんて」「絶縁までするほどのことなのか」
そんな、周囲の言葉なのか、自身の中からの言葉なのかに、かなり苦しまされました。
また、親が押し掛けてくるのではという恐怖にもさらされます。
私の場合はどこか町で見かけたらどうしよう、ばったり会ったらどうしよう、という恐怖に襲われました。似たような人を見かけただけで心臓がばくばくしていました。完全にトラウマです。
この平和が壊されたらどうしよう…という恐怖は、安心感を抱いたからこそ起こるものです。
フェーズ3:親への怒り、悲しみを感じる
親から解放された生活をしばらく送っていると、だんだんと起き上がってくるのが「怒り」「悲しみ」です。
安心した生活を送れるようになったことで、毒親の異常性があらためて理解できたためであり、怒りや悲しみ、感情の混乱が起こることは正常な反応です。
- なんであんなに兄弟差別されないといけなかったんだ!
- 勉強ができないと暴力を振るわれるなんて虐待だった!
- 子供なのに女として嫉妬され、ずっとブラジャーを買ってもらえなくて辛かった!
- ずっと親の愚痴を聞かされて育って、自分はサンドバックだった!
- 勝手に部屋の物を捨てられて、訴えてやりたい!
- 私には仲良く買い物できるような親はいなかったんだ、悲しい…
- 俺も両親を結婚式に呼んで、祝福してほしかった…
心が浄化されるまで、何度も何度も怒ったり悲しんだりするべきだと思います。
フラッシュバックが起こることもあり、私もとても辛かったです。感情が混乱し、ベッドの上で毎晩泣き続けた時期もありました。
1つだけ注意したいことは、怒りから親に文句を言いたいと感じ、手紙を書いたり電話したり、接触してしまうことだけはできるだけ避けるということです。
せっかく距離をとれたのに、また近づいてしまうからです。
毒親への怒りについてはこちらにも記載していますので、ぜひ読んでみてください。
フェーズ4:現状を客観的に見られるようになる
自分の感情が少し落ち着いてくると、冷静に自分のことを見られるようになります。
実は親自身も毒親育ちだったとか、貧乏で支援してくれる人もいなく余裕がなかったとか、夫婦関係が悪かったとか…何かしらの理由が見えてくると思います。
客観的に自分の置かれていた状況を見つけなおすことができるようになり、「自分は悪くなかった」「縁を切ったって仕方がないことをされた」と思えるようになります。
フェーズ5:親から自分の人生を切り離すことができる
自分は悪くなかった、と思えたら、だんだんと親と自分の人生を切り離して考えることができるようになります。
今まで私たちは、毒親との関係を良くしようと、努力したことが沢山あると思います。
親に褒めてもらおうと努力したり。
親の顔色を見て立ち振る舞いを変えたり。
親の愚痴を聞いてあげたり。
それでも、努力むなしく、「子供を愛で包んでくれる親」は、私たちには存在しませんでした。
それを、少しずつ理解できるようになります。
そうすると、少しずつ親のことを考える時間が減り、自分のされたことを思いだす時間が減っていきます。
解毒時間は人によりますが、関係性を切ることで間違いなく軽快していきます。
親と絶縁した人、絶縁を検討している人には、親のことを変えようとしたのではなく、現状のまま諦めてしまったのでもなく、現状を変えようとしている自分を、褒めてあげてください。
余談:絶縁しないといけないの?
今回は、絶縁後すぐは難しくても、だんだんと親の呪縛から解放されていくよ、という内容をお伝えしました。
「認めてくれる親は自分にはいない」と認めること、「親を自分から切り離そうとすること」は、かなりの心の痛みを伴うことです。
これが辛いから、親と絶縁しないという人も一定数存在します。
毒親にも色々なタイプがいます。もがいて苦しんで針に刺されまくるより、慣れた鈍い痛みを受動的にを感じ続けていた方がまだマシである場合だってあります。
でも、絶縁なんて怖いことはできない、すぐには現状を変えられない、と思っていたとしても、適切とは言えない環境で、それでもここまで生き抜いてきた自分を褒めてほしいです。
すっぱりと絶縁しなくても、距離をとったり、接触頻度を減らしたり、少しずつでもやっていきましょう。
今回は以上です。お読みいただきありがとうございました!